[レポート] AWSを活用した番組制作事例 #interbee2020
こんにちは、大前です。
昨日に引き続き、Inter BEE 2020 ONLINE に参加しております。11/19 は AWS のセッションがたくさんあるので要チェックですね。
本記事は、Inter BEE 2020 ONLINE のセッション「AWSを活用した番組制作事例」のセッションレポートです。
セッション情報
セッションタイトル
AWSを活用した番組制作事例
セッション概要
コロナ禍における番組制作ではリモート出演やリモートでの番組制作、また社外からの映像プレビュー等のニーズが非常に高まっております。本セッションではAWSを活用してそれらのニーズに対応した最新の事例をご紹介します。
リンク
該当のセッションはこちらから視聴が可能です。
スピーカー
- 宮崎 剛 氏
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
- エンタープライズ統括本部 通信・メディア営業本部 シニア アカウント マネージャー
- 藤本 剛 氏
- 株式会社TBSテレビ
- メディアテクノロジー局 未来技術設計部
- 河村 浩司 氏
- 株式会社TBSテレビ
- メディアテクノロジー局 放送設備計画部
- 神保 直史 氏
- 株式会社 WOWOW
- 技術局 技術企画部
セッションレポート
AWS が考えるメディアワークフローのコンポーネントとは
- 制作、管理、配信
- 上記に加えて、機械学習などを用いた分析も入ってくる
- AWS としては、各コンポーネントに対して最適なサービスを提供・紹介
- 今回は、制作の部分にフォーカスしたセッション
Amazon Chime SDK を利用したリモート出演ツール TBS Bell
- 開発経緯
- コロナによって会議システムを使ったリモート中継が増えてきた
- スタジオに来られない出演者や、現場にいけない技術・制作向けに様々な無料の会議システムを使っていた
- 色々使っていたが、あくまで会議システムである為限界があった
- 使えなくはないが、うまくいかないこともたくさんあった
- そこで、シンプルかつ、コンテンツ作りに都合の良いシステムを作りたいと考えた
- 使えなくはないが、うまくいかないこともたくさんあった
- 色々使っていたが、あくまで会議システムである為限界があった
- 何を使ったか?
- 様々な会議システムを比較した結果、Amazon Chime SDK に行き着いた
- オリジナルのシステムを作る事に
- Amazon Chime SDK とは
- Amazon Chime は AWS が持っている会議システム
- 他の会議システムと同様に会議が行えるツール
- この機能を SDK として提供したものが Amazon Chime SDK
- 内部的には WebRTC で動いている
- 音声、ビデオ、画面共有、電話網通話が可能
- Amazon Chime は AWS が持っている会議システム
- 構成
- クライアントのブラウザから Amazon CHime SDK を呼び出すための EC2 に接続し、会議に必要な情報をもらう
- クライアントは返却された情報を元に Web 会議を実現
- 情報の管理先としては DynamoDB を利用
- Amazon Chime SDK のメリット
- 0から作るよりも開発がスピードアップする
- コスト削減にも繋がる
- AWS のサービスであるため、スケーラビリティがある
- AWS の SDK は他サービスでも充実しており、信頼性が高く、組み合わせも容易
- 2019年スタートのサービスではあるが、アップデートが日々行われている
- 他の SDK と比較して、認証けいやデバイス制御など、細かい部分まで触れる
- 予想より深い部分まで触れる/カスタマイズ可能な SDK だった
- 0から作るよりも開発がスピードアップする
- 実際に作ったシステムの紹介
- よくある Web 会議システムのような n分割の画面
- 会議システムでは名前が表示されるが、これは放送では不要
- Amazon Chime SDK では表示させない形を実現できた
- 表示レイアウトのカスタマイズが可能
- 放送では参加者を表示させる場所を固定化したいケースが多く、一般的な会議システムでは実現できない部分であった
- 参加しているユーザの操作をホスト側でできるようになっている
- マイク ON/OFF
- カメラ ON/OFF
- レイアウト変更
- ユーザの画面解像度変更
- 参加者の NW 帯域に応じて解像度を変更することが可能
- 参加者の退出
- 使用した番組例
- 音楽の日
- 生放送、同時接続 75人、述べ 200人以上がリモート観客として出演
- 知育/教育イベント
- アナウンサーが先生になって、子供に絵本の読み方をリモートで授業
- 東大王
- 同時接続 200人。東大王と視聴者がクイズで競う
- 上田晋也のニュースな国民会議
- 生放送で同時接続 30人。視聴者と出演者が日本の問題を徹底生討論
- 音楽の日
- 今後の課題
- より多人数における使用
- 現在は人数制限がある
- スマートフォンなど多種多様な環境への対応
- 音声の詳細なコントロール
- ボリュームのコントロールなど、より細かい制御ができるようにしたい
- より多人数における使用
ファイルベースシステム向け 社外プレビュー用共通APIの開発
- 社外PV環境の必要性と課題
- ファイルベースシステムとは?
- VTRからデータファイル化
- 収録、編集、送出など、OA までに必要な機能が統合的にシステムかされたものがファイルベースシステム
- 大きな機能の1つとしてプレビュー機能がある
- TBS のファイルベースシステム
- 用途に応じて複数のシステムが存在
- スポーツ用/情報制作用/報道用
- 一方、制作現場からはさらなる要望が上がっていた
- 社外から〇〇したい、といった声が多かった
- 社外PV の実現方法を色々検討
- 社外からアクセス?
- 社内の端末にRDP?
- クラウド上にPV用のファイルを配置する?
- 上記はそれぞれ課題があった為、以下の方針で検討をしてみた
- 特定のサーバのみ社外からアクセス可能にすれば
- ネットワーク遅延に強い動画配信技術が使えないか
- 必要な素材のみアップロードすれば良いのではないか
- など
- ファイルベースシステムとは?
- 開発コンセプト
- 各ファイルベースで利用できること
- クラウドを活用すること
- プレビュー回数も制限できること
- 再生には動画配信技術を使用
- スマホからも再生可能であること
- 必要に応じてメタ情報も利用できること
- AI 技術を利用できること
- AWS を選定した理由
- 情報収拾のしやすさ
- 開発ベンダーの経験と実績
- 映像慣例サービスの豊富さ
- AWS のサポート
- システム(千里眼)の概要
- 社外からファイルベースシステムの素材一覧を参照できるようになっている
- プレビューボタンを押すと、AWS上のサーバがファイルベースシステムにアクセスし、 HLS 形式に変換して動画を配信
- 社外向けには動画のワンタイム URL がメール通知される
- システムの主な特徴
- 汎用的な API
- オンプレのファイルサーバには VPN 経由でアクセス
- クラウドにファイルを保持するのは一定期間のみ
- ワンタイム URL を利用
- 収録中の素材についても追いかけ再生が可能
- 変換後のファイルは一定期間参照可能であるため、毎回変換する必要がなくなる
- メタ情報についても自由に参照が可能
- CDN を利用
- 文字起こしも可能
- システム構成図
- TBS のオンプレ環境と AWS を VPN で接続
- マルチ AZ 構成を取っているため、障害にも耐えうる構成となっている
- 最終的には CloudFront で動画を配信
- 実際の画面イメージ
- プレビューだけでなく、メタ情報も1つの画面上で確認することが可能
- 8倍速での再生など、再生制御が可能
- 変換時にサムネイルも生成しているので TC ジャンプが可能
- もじことの融合
- AI 音声認識技術による文字起こし機能と連携しており、ボタン1つでリアルタイムな文字起こしが可能
- コロナ状況下における利用状況
- 本来はオリンピック前に導入予定だったが、コロナによって報道やスポーツ用ファイルベースで導入
- テレワークの推進等に繋がった
- 本来はオリンピック前に導入予定だったが、コロナによって報道やスポーツ用ファイルベースで導入
- 現場の声
- 現場や社外から素材が確認できるようになり、非常に好評
- 今後の展望
- 情報制作用FBシステムや次期報道支援システムに導入
- 動画解析などの AI ツールやサービスとの連携を検討
- 見るだけでなく、編集指示やメタ入力も検討
クラウドを活用した音楽ライブ制作 〜複数拠点からの映像音声制作の実践〜
- 目指す姿
- 演奏者、カメラマン、スイッチャー、ミキサーなど、様々な映像制作に関わるエンジニアが離れた場所から音楽ライブを制作し配信する
- 実施概要
- OTTAVA とアクトビラの共同プロジェクト「The Concert at Home」
- TBS と WOWOW が共同制作
- 5作品のうち3作品が本システムを活用して制作している
- 回を重ねるごとに出演者が増えている
- 全体構成
- 様々な場所にいる関係者を汎用のインターネット回線で接続
- EC2 を経由して制御や映像を送りあっている
- 最終的に映像と音声を合わせる部分は特定の場所で実施
- 映像制作部分について
- カメラ
- 4Kカメラをカメラマンが遠隔地からクラウド経由で制御
- 映像はクラウド経由で低遅延伝送を行い、PC 上で HD 切り出し
- 独自開発した Live Multi Viewing を活用
- スイッチャー
- 映像はクラウド経由で低遅延伝送
- 伝送された映像を PC 上で切り替え
- カメラ
- 音声制作
- ミキサー
- 音声伝送アプリを用い、各演奏者から最大 8チャンネルを伝送
- 離れた場所で音声が加工される
- 最終的には EC2 上で動作させる事を予定
- コミュニケーション
- 一番大事な部分
- 演奏者が複数いる場合、お互いの音や映像が確認できる必要があった
- 合奏用の音声は遠隔合奏アプリを活用
- オペレーター同士はWeb会議サービスを利用
- ミキサー
- まとめ
- 2つのポイント
- 低コストで汎用かできるシステム
- 民生機器(PCやカメラ、汎用インターネット)
- 映像音声の高クオリティ化
- オペレータが離れていてもカメラ制御や映像切り替えを実現
- 低コストで汎用かできるシステム
- 低コストで汎用化できる、というポイントを一番意識した
- 従来は高コストかつ不便というケースが多かったため、今までの課題を解決するものになった
- 実際の使用者からも良い感想を頂いた
- 視聴者も気づかないレベルで一定のクオリティが担保できている
- 2つのポイント
総括
- 制作現場で今後求められるキーワード
- リモート
- クラウド
- 拡張性
- 柔軟性
- AWS としてもこれらを支援していく
おわりに
Inter BEE 2020 ONLINE のセッション「AWSを活用した番組制作事例」のレポートでした。
昨今の情勢から、リモートや社外というキーワードが制作の現場まで広がっている事を非常に実感できるセッションでした。
また、制作現場にて求められる要望などを聴く機会はなかなかない為、勉強になりました。
以上、AWS 事業本部の大前でした。